早期の語学教育が大切で有効と聞きますが、言語の習得に関しては、子どもより母語をしっかりと使いこなせる大人の方が速いと言われています。なぜなら人それぞれではありますが、年齢に応じた語彙力があり、母語の語彙の裏付けにより、より多くの単語を理解・習得ができ、また、理論的に文法を理解するため作文もできるのだそうです。
2023年4月27日キングスティ当日 エラスムス橋を背景に
もちろん、ここで言う言語の習得の速さは、「流暢に話すことができるようにもなる」ことを、意味するわけではありません。
日本人としては「流暢さ」もそうですが「発音」も気になるところです。スムーズなコミュニケーションには「流暢さ」や「発音」が大切かのように思っているところもあります。しかし、ヨーロッパで一番、140以上の国と地域から移民を受け入れている多国籍都市ロッテルダムにいると、「流暢さ」や「発音」の大切をあまり感じないというのが正直なところです。「何が言いたいのか」といった自分の「意志」「意見」「考え」が一番大切だと思わされます。また、個人の「ユニークさ」も大きな魅力となり、コミュニケーションを取りやすくします。
2022年6月22日 現地校「ヒルデガルド校」との交流
小さな時から日本語と英語に触れていればバイリンガルになれるのかと言うと、そんなに簡単ではないのではないでしょうか。しゃべることができても書けなかったり読めなかったりするようです。やはり、時間と努力がある程度必要ではないでしょうか。日本人の私たちが、日本語(国語)を学校で何年も勉強するんですから、日本語を母語とする私たちも、日本語習得に時間と努力が必要です。
小さな時期の言語獲得の様子を見ていると、それぞれの言葉に対しての対応(Replay)になります。そこから思考へと言語を発達させる必要があります。そこに学校の国語教育があります。日本人として当たり前に日本語を話している私たちは、その発達過程を無視しがちです。
2022年12月12日 オリボーレン・レッスン
そんなことを言っても、やはり小さな時から色々な言語に慣れ親しむというのは、とても大切なことのようです。
戦前戦中に幼少期を過ごした日本人と戦後以後に幼少期を過ごした日本人では、Tの発音が大きく変わると聞いたことがあります。「テー」と「ティ」です。これは「ティ」の発音が戦後に日本語の中に一般化されてきたからなのだとか。
いろいろな意見や研究があるかと思いますが、一般的に幼少期終わり(12歳)が耳の機能が一番高いのだそうです。それぐらいまでに聞いた音は頭にインプットされ音として記憶される。記憶されている音は発音できやすいそうです。それ以降となると、耳の機能が衰えてきて聞き取れないためインプットされない。インプットされていない音を発音するのは大変難しいのだそうです。
先にも書きましたが、色々な意見や研究があり様々な見方がありますが、確かに、戦前生まれの私の母親は、Tを「テぃ」と発音できません。「ティ」の発音できないところを見ると、あながち間違った説ではないのではないかと思っています。
日本人の英語力が低いと言われているのは、日本人の持つ性格であったり、学校の英語教育(完璧主義)によるところもあるかもしれません。しかし、それ以上に文化背景も関係しないという訳ではないと思います(これに関してはまた、どこかでお話します)。とにかく(「とにかく」という名の日本人コメディアンが今英国で話題なんだそうですね。彼の英語での受け答えにはセンスの良さが感じられるという人もいます)、JSRでは英語だけでなく日本語もたくさん聞く、たくさん話す・伝える場を作り、言語活動を活発にしていきます。
2022年7月5日 ハーリング・レッスン